■演題名:想定範囲外の作業ニーズ
■演者:藤本一博
■所属:湘南 OT 交流会
【はじめに】 作業に基づいた実践では,本人の大切な作業が家族との共同生活の阻害となる場合がある.この作業は導入する前に見送ってしまうことが多いが,体験から気づきが生まれ,自ら適応できるように変化出 来た事例を経験したため,ここに報告する.
【事例紹介】
回復期リハビリテーション病棟に入院した 60 代男性 A 氏を担当した.A 氏は脳血管障害による軽度 片麻痺と注意障害を有していた.当初のニーズは「早期自宅退院」であり,それ以上のニーズは語られ なかったため,OT の面接を行うと自宅では長年趣味で行っていた習字を再開し,仲間と作品を見せ合 いたいと語っていた.PT,OT,ST の介入により,1 か月後には独歩で院内 ADL 自立,習字も自宅で楽し める状態になっていた.退院設定が近づいたころ A 氏は「書道パフォーマンスを見た.あれを作品とし てやってみたい」と高校生が行うパフォーマンスを見て,感動したと語った.